知財高裁による審決取消訴訟の判決をピックアップして掲載しています 

平成19年(行ケ)第10383号商標登録取消決定取消請求事件


主文

1 特許庁が異議2006-90164号事件について平成19年9月27日にした異議の決定を取り消す。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求

主文と同旨。

第2 事案の概要

1 本件は,特許庁が原告の登録出願に係る後記商標の登録を取り消す旨の異議の決定をしたことから,原告が同決定の取消しを求めた事案である。

2 争いのない事実及び証拠により容易に認定される事実

(1) 特許庁における手続の経緯

ア 原告は,平成16年9月29日に登録出願された商願2004-89017に係る商標法(以下「法」という)10条1項に基づく分割出願として,平成17年4月18日,下記に表示のとおり「ルネッサンスホテル創世」の文字を書して成り,指定役務を第43類「宿泊施設の提供」とする商標(以下「本件商標」という)を出願(商願2005-34613)した(甲10の1)。

同出願については,平成17年9月14日付けで拒絶理由通知(法4条1項11号該当)がされたが,原告が意見書を提出したところ,同年12月26日に登録査定がされ,平成18年1月27日に商標登録4924793号として登録され,同年2月29日に商標公報に公示された(甲10の2,3)。

イ 本件商標の登録につき,平成18年4月20日にルネッサンス・ホテル・ホールディングズ・インコーポレイテッド(以下「申立人」という)から異議の申立てがされ甲26の1 2 異議2006-90164号事件として審理され同年10月27日付けで法4条1項15号違反を理由とする取消理由通知書がされたので,原告が意見書を提出したが,特許庁は,平成19年9月27日,本件商標の登録を取り消す旨の決定を行い,その謄本は,同年10月17日,原告に送達された。

(2) 本件決定の内容

本件決定の内容は,別紙異議の決定のとおりである。

その理由の要点は,申立人が権利者である「RENAISSANCE」の欧文字から成る。(登録商標登録番号:第3244113号,出願日:平成4年9月30日,登録日:平成9年1月31日,指定役務:第42類「宿泊施設の提供」ほか。)

(以下 「申立人商標1」という。甲1の1)及び「ルネッサンス」の片仮名文字を横書きして成る商標(登録番号:第4536730号,出願日:平成12年4月28日,登録日:平成14年1月18日,指定役務:第42類「宿泊施設の提供。以下「申立人商標2」といい,申立人商標1及び申立人商標2を併せて「申立人商標」という。(甲1の2)は,本件商標の登録査定時はもとより,登録出願時においても「宿泊施設の提供」において,既に需要者,取引者に広く認識されていた著名性のあるものであったこと,本件商標と申立人商標とは,その類似性が極めて高いこと,指定役務が同一又は類似であること,役務の需要者において共通性を有するものであったことなどに照らし,本件商標をその役務に使用した場合,申立人又は申立人と経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく,役務の出所について混同を生じるおそれがあるとし,本件商標は法4条1項15号に違反するとしたものである。

第3 当事者の主張

1 原告主張の取消事由

(1) 本件商標

本件商標は,上記第2の2(1)アの表示のとおり,明朝体様の同一書体の文字で構成され,本件商標を構成する各文字は,縦線あるいは横線の端部の一部をややはねて表して成り,同一大きさ・同一間隔で横一連に「ルネッサンスホテル創世」と表記したものである(甲10の1,2)

本件商標は,観念から区分すると「ルネッサンス」「ホテル」「創世」の三つの語から構成されているが,各語には外観上軽重の差はなく,外観上まとまりもよく構成上一体的に看取される。

したがって本件商標は文字種が異なる片仮名と漢字から構成されてはいるが外観的構成において結合の程度は強く,一連に一体として認識することを妨げる要素はなく,各文字が端部の一部をややはねて表していること及び同一書体・同一大きさ・同一間隔であることから「ルネッサンスホテル創世」として一体に看取され得る構成と成っている。

(2) 本件決定の理由

ア 本件決定では,本件商標は法4条1項15号に違反して登録されたものであるから,法43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものであるとした。

イ 本件決定が周知著名性を有し出所の混同を生じると認定した引用商標使用商標)は,欧文字表記の「RENAISSANCE」又は片仮名表記の「ルネッサンス」であり「HOTEL」や「ホテル」の文言は付随していない(決定8頁,11,12,31行。)

ウ 本件決定の第5 当審の判断の項には本件商標については本件商標は両語が結合して特定の意味合いを有する成語を形成するものとは認められないから『ルネッサンス』『ホテル』及び『創世』の各文字を結合したものと理解,認識されるものとみるのが相当である』(決定9頁3~6行)及び「本件商標と引用」商標とはその類似性が極めて高い商標であるといわざるを得ない決定9頁910行)と認定しているが,本件商標の構成中,引用商標と直接対比すべき構成を抽出した箇所は見当たらない。

なお,取消理由通知書(甲27)では,本件商標「ルネッサンスホテル創世」から,視覚上「ルネッサンスホテル」の文字部分を直ちに認識し得る構成のものということができると認定していた(決定4頁12,13行。)

(3) 本件決定の取消事由

本件決定には,次の(3-1)に主張するように,引用商標の認定及びその周知著名性の認定に誤りがあり,かつ,(3-2)に主張するように,本件商標の使用が広義の混同を生ずるおそれを肯定した判断に誤りがあるから,取り消されるべきである。(3-1)

引用商標及びその周知著名性の認定の誤り

引用商標として認定すべきは,申立人が使用している,やや横長の略円形状の枠の中に欧文字「R」をデザイン化したと思われる図形商標(以下「図形商標」という)と欧文字の「三段構成の結合商標」又は図形商標と欧文字「RENAISSANCE」の「二段構成の結合商標」であり,図形商標を看過し「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」だけを引用商標とした本件決定の認定は誤りである。

片仮名表記の「ルネッサンス」や欧文字表記の「RENAISSANCE」が使用されているホテルは,我が国では,札幌,鳴門及び沖縄のわずか3軒にすぎず,これらの商標が我が国において申立人の商標として周知著名性を有しているということはできない。

特許庁で編集されている周知商標集においても商標「RENAISSANCE」あるいは「ルネッサンス」は,載録掲載されていない。

よって図形商標の存在を看過し欧文字表記「RENAISSANCE」のみ又は片仮名表記「ルネッサンス」を引用商標と認定し,しかも,これらの商標が周知著名性を有するとした決定の認定は違法である。

以下,詳述する。

ア 引用商標認定の誤り(図形商標の看過)

(ア) 申立人が登録商標「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」(甲1の1,2)を使用して我が国において間接的に経営にかかわっているホテルとしては現在「ルネッサンスサッポロホテル」「ルネッサンスリゾートナルト」,「ルネッサンスリゾートオキナワ」の3軒のホテルである(甲2の2) 。異議申立時には「銀座東武ホテル・ルネッサンス東京」もあったが(甲3の1,2),現在は「コートヤード・マリオット東京銀座ホテル」に名称が変更されている(甲29)。

これらのホテル,例えば「ルネッサンスサッポロホテル」についてウェブサイトを検索すると,トップページ又はそれから移行するウェブページに,上段にはやや横長の略円形状の枠の中に欧文字「R」をデザイン化したと思われる図形商標,中段には欧文字表記の「RENAISSANCE ,下段には当該「RENAISSANCE」よりも小さく(1/2 ~ 1/3 程度の大きさ,欧文字表記で「SAPPOROHOTEL」 との図形商標と文字が結合された三段構成の結合商標が表われる(甲11)。

他のホテルについても同様であり,上段の図形商標と中段の欧文字表記の「RENAISSANCE」は共通で,下段の欧文字表記のみが異なっている「ルネッサンスリゾートナルト」の場合は「NARUTO RESORT 「ルネッサンスリゾートオキナワ」の場合は「OKINAWA RESORT」となっており,いずれも図形商標と文字が結合された「三段構成の結合商標」が表われる(甲7の1,2参照)。

また,ホテルの案内状についても,上述した「三段構成の結合商標」が使用されている(甲7の1,2)。

(イ) このように,申立人が我が国において間接的に経営にかかわっているホテルで使用されている商標は,下段を除けば同一の構成であり,かつ,下段の文字にはホテルが所在する地名が含まれている。

また,申立人が直接又は間接的に関与していると思われる外国のホテルにおいても,日本の場合と同じ「三段構成の結合商標」が使用されており,中段の欧文字表記の「RENAISSANCE」の下側には地名を含んだ欧文字が配置されている(甲12の1~3 )。

さらには,ホテルの案内や雑誌の広告について使用されている商標についても,上段には図形商標,中段には欧文字表記の「RENAISSANCE」 ,下段には当該「RENAISSANCE」よりも小さく欧文字表記で「HOTELS & RESORTS」と書した構成である(甲2の2~5,甲6の1,2,甲8の2)。

(ウ) 以上述べたように,申立人が使用している商標は「三段構成の結合商標」であり,各商標に共通する構成は,上段には図形商標,中段には欧文字表記の「RENAISSANCE」で,これらの商標は使用に際して密接にかかわっている。よって,引用商標として認定すべき商標は,図形商標と欧文字の「三段構成の結合商標」又は図形商標と欧文字「RENAISSANCE」の「二段構成の結合商標」であり,図形商標を看過し「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」を引用商標と認定した本件決定は誤りである。

イ 周知著名性認定の誤り

(ア) 本件決定は,下記のとおり認定した。

「申立人(マリオット・インターナショナルInc.)の創業時期の記載等は見当たらないが,…認められる。」

また,同社及びその関連会社が経営するホテルの日本人メンバーシップ会員が2003年に19万1641人であったこと,2002年の世界中の『ルネッサンスホテル』に宿泊した日本人が4万6千人だったこと,及び2001年度の年間売上高が世界で約200億ドルに達したこと(甲2の1)等の事実が認められるから,少なくとも,本件商標の登録出願前より以前に『宿泊施設の提供』について,引用商標『RENAISSANCE』等が使用されていたと推認できるものである(決定7頁23~34行) 。」

しかし,本件決定の理由は,何ら証拠に基づいて引用商標の使用形態を明らかにするものではないし,もとより周知性認定の前提となる使用開始時期すら明らかにするものではないのであり証拠に基づかない認定として違法取消しを免れないしかも,本件商標の登録出願前より以前に「宿泊施設の提供」について使用されていたと推認される商標は,図形商標と欧文字の「三段構成の結合商標」であって,本件決定が認定した引用商標「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」だけでないことは上述したとおりである。

まず,本件決定が述べる「日本人メンバーシップ会員数及び宿泊した日本人数は,そもそも引用商標の使用形態や使用時期とは無関係である。その上,いかなる証拠に基づくものかすら,全く不明である。ちなみに,申立人は,商標登録異議申立書において,マリオット・インターナショナル,Inc.あるいはその関係者が証拠を添付した陳述書を近日中に提出するとしていたが(甲26の2の8頁末6行以下,そのような証拠は結局提出されていない。このように,証拠に基づかない上)に,認定事実とは無関係の引用商標の使用を認定したことは誤りである。」

さらに「世界中の『ルネッサンスホテル』に宿泊した」と認定しているが,これも引用商標の使用や使用開始時期とは無関係な認定にすぎない上に,ホテルのブランドは「ルネッサンス・ホテル・アンド・リゾート」であり(甲2の1 「ルネッサンスホテル」ではない。

さらにまた,年間売上高の統計はマリオットのウェブページをダウンロードしたもの(甲2の1)を根拠にしたと推認されるが,これも上記同様,引用商標の使用や使用開始時期とは無関係な認定にすぎず,甲2の1の記載事項は「マリオット,・インターナショナルInc.」全体のものであり「ルネッサンス・ホテル・アンド,・リゾート」の売上高ではない。このような引用商標とは無関係の売上高に基づいて,しかも,引用商標の使用を前提とした本件決定の認定はずさんとしかいいようがない。

(イ) また,本件決定は,次のとおり認定した。

『RENAISSANCE HOTEL』(ルネッサンスホテル)の広告に要した世界中での費用は,2001年は750万USドル,2002年は1190万US ドル,2003年は1070万USドルと認められる(決定8頁8~10行)。」

しかし,上記広告の統計も何ら証拠に基づかない認定であり,我が国における宣伝広告費はそもそも主張すらされておらず,全く不明である。このように,証拠に基づかず,しかも,我が国における宣伝広告費すら不明なままで引用商標の周知著名性を認定したことは誤りである。

なお,広告された商標は,上述したように図形商標と欧文字表記の「RENAISSANCE」の文字商標を含む「三段構成の結合商標」と推認される。

(ウ) 上記のように,本件決定では「ルネッサンスホテル」あるいは「RENAISSANCE HOTEL」という標章の使用及びその周知著名性を認定しているが(決定7頁36行,8頁2,8行),周知著名性認定の前提事実となる使用開始時期,使用形態,周知著名性獲得の具体的事実をそもそも認定しておらず,認定事実の多くは何ら証拠に基づいていない。しかも,標章「ルネッサンスホテル」あるいは「RENAISSANCE HOTEL」は,申立人の登録商標でもないし,ホテルで使用されている商標とも異なるのである。

(エ) 片仮名表記は我が国特有の表記でありこの片仮名表記のルネッサンスを使用して申立人が間接的に経営にかかわっているのは我が国においては札幌鳴門,沖縄という地方都市に存在するわずか3軒のホテルにすぎないのであって,片仮名表記の「ルネッサンス」が本件商標出願時においてさえ我が国において申立人の商標として周知著名性を有しているとはいえない。現に,申立人が主張していた東京に存在した銀座東武ホテル・ルネッサンス東京は既に提携を解消してルネッサンス」の使用を中止していることは前述のとおりである。また,申立人自身が明らかにしているとおり「ルネッサンス岐阜ホテル」は委託契約の終了に伴い,平成17年末には「岐阜都ホテル」に名称を変更している(甲4の1,2) 。これらの提携が解消され,我が国における使用ホテルが減少の一途をたどっているという事実は,要は引用商標には我が国における顧客吸引力がないことを如実に示すものであり,引用商標が周知著名ではないことを有力に裏付けるものである。

また,欧文字表記の「RENAISSANCE」が,仮に外国においてそれなりに知られているとしても,我が国においては当初の5軒が減少していき,現在ではわずか3軒のホテルで使用されているにすぎないのであってかかる経緯を見ても欧文字表記の「RENAISSANCE」が我が国において申立人の商標として周知著名性を有しているとはいえない。

現に,特許庁で編集されている周知商標集においても「RENAISSANCE」あるいは「ルネッサンス」は,載録掲載されていない(甲25の1,2)。

(オ) なお,ハワイにおいては「ルネッサンス」の名称を冠したホテルとして「ルネッサンス・イリカイ・ワイキキ・ホテル」と「ルネッサンス・ワイレア・ビーチ・リゾート」の2軒(甲2の7の11頁)のホテルが経営されていたようであるが,原告がその後調査したところでは「ルネッサンス・ワイレア・ビーチ・リゾート」1軒だけになっている(甲24)。

また上述のとおりルネッサンス岐阜ホテルでもその使用を中止し(甲4の12) ,さらには「銀座東武ホテル・ルネッサンス東京」も使用を中止するなど(甲29),申立人が使用する商標が我が国において周知著名性を有しないことは明らかである。

(3-2) 出所混同の判断の誤り

申立人商標「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」は,非独創的な既製の語で一般的・普遍的な文字であり,自他識別機能,出所表示機能は弱いから,申立人の使用している商標として取引者,需要者において特段注意を払うのは,図形商標と欧文字表記の「三段構成の結合商標」又は図形商標と欧文字表記の「RENAISSANCE」を組み合わせた「二段構成の結合商標」である。

これに対して,本件商標は,片仮名と漢字から構成されているが,外観的構成において結合の程度は強く「ルネッサンスホテル創世」として一連に一体として認識することを妨げる要素はなく「ルネッサンスホテル創世」と一体に看取され得る。

一般に,商標の類否判断は,外観,称呼,観念において判断されるが,インターネットによる取引形態が日常化している昨今,商標の外観は重要な類否判断の一つである。申立人が使用している商標は特異な図形商標と欧文字表記の結合商標であるのに対して,本件商標は片仮名と漢字で横一連に表記された「ルネッサンスホテル創世」であり一体に看取され「ルネッサンスホテルソウセイ」と一体に称呼される。

よって,本件商標は,図形と文字が密接に結びついた結合商標である申立人の使用している商標とは,外観,称呼,観念のいずれにおいても非類似であり,役務の出所について混同を生じるおそれはない。

仮に本件決定が認定したように使用している商標の要部として認識される部分が「RENAISSANCE」の文字部分であるとしても,本件商標は一体性を有する「ルネッサンスホテル創世」であり,外観,称呼,観念のいずれにおいても非類似で,本件商標に接した取引者,需要者は,申立人又は申立人と何らかの関係を有するとは考えないのであり,その出所の混同のおそれはない。

したがって,本件商標をその指定役務について使用した場合,申立人又は申立人と経済的に関係を有する者の業務に係る役務であると出所について混同を生ずるおそれがあると判断した本件決定の判断は誤りである。

以下詳述する。

ア 引用商標認定の誤り(図形商標の看過)

(ア) 本件決定では,申立人商標である「RENAISSANCE」 「ルネッサンス」を引用商標(使用商標)と認定した決定(8頁11,12行)。しかし,用されている商標は,上段の図形商標,中段の「RENAISSANCE」の文字商標,下段の「SAPPORO HOTEL」「NARUTO RESORT」「OKINAWA RESORT」「HOTELS &RESORTS」等の文字商標とが結合し,図形商標と欧文字が結合された「三段構成の結合商標」である。

上述したように,我が国での使用,外国での使用,広告での使用において共通するのは,上段の図形商標と中段の「RENAISSANCE」の文字商標が結合したものであり,取引者,需要者が申立人の商標として認識するのは「RENAISSANCE」ではなく,図形商標と文字の結合商標であって,本件決定は図形商標の存在を看過している。

(イ) 後述するように,標章「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」は既製の語で非独創的標章であり,一般によく知られた既製の語を単に商標として採択したにすぎず,自他識別機能が弱い商標である。

申立人が使用している商標として取引者,需要者に認識されている商標は,図形商標と欧文字表記の「三段構成の結合商標」又は図形商標と欧文字表記の「RENAISSANCE」を組み合わせた「二段構成の結合商標」であり,取引者,需要者は,この三段構成又は二段構成の結合商標を申立人の商標として認識し,既製の語で特異性がなく,自他識別機能あるいは出所表示機能に乏しい欧文字表記の「RENAISSANCE」だけでは申立人の商標と認識はしない。

(ウ) 仮に,申立人の使用商標を構成している「RENAISSANCE」が取引者,需要者に広く認識されていると判断されるとした場合でも「RENAISSANCE」は,特異性のある図形商標と一体となった結合商標として使用されているのであるから,図形商標も取引者,需要者に広く認識されるのである。

後述するように,既製の語で一般的・普遍的な語であり,構成文字も特殊なものではない「RENAISSANCE」の商標と,特異性を有する図形商標から構成される結合商標の場合には,識別力との相関において一般的・普遍的な文字である「RENAISSANCE」の出所識別機能は弱められ,この部分のみでは商標の要部とは認められない。

イ 引用商標は非独創的標章で,自他識別機能が弱いことの看過

(ア) 本件決定は「商標権者の『ルネッサンス』の文字が識別性がないか又は,弱いとの主張については,これを立証する証左に乏しく」と認定したが(決定9頁21,22行,下記のとおり,商標権者は我が国における具体的な使用実態を証拠に基づいて明らかにした上で主張立証しているのであり,何らの判断を示すことなく「証左に乏しく」などという本件決定の認定は,判断の遺脱にも等しいものである。

「RENAISSANCE」及び「ルネッサンス」の標章は非独創的標章で,殊に「ルネッサンス」は中学生,高校生の教科書や参考書にも記載されている語であり,単独であるいは他の語と組み合わせて使用されている極めて一般的な既製の語で特異性がなく,自他識別機能あるいは出所表示機能に乏しい商標である。以下説明する。

(イ) 「ルネサンス(仏語:Renaissance 直訳すると「再生」になる。) 」は,一義的には,14世紀-16世紀にイタリアを中心に西欧で興った古典古代の文化を復興しようとする歴史的・文化的諸運動を指す語である。また,これらが興った時代(14世紀-16世紀)を指すこともある。

「ルネッサンス」とも表記され,現在の歴史学,美術史等では「ルネサンス」という表記が一般的であるとされているが,通俗的に「復興「再生」を指す言葉として用いられている場合は「ルネッサンス」と表記されることが多い。日本では,長らく文芸復興とも訳されてきたが,文芸のみでなく広義に使われるため現在ではあまり使われない(甲13)。

(ウ) 我が国においてはルネッサンスの標章は非独創的標章で中学生高校生の教科書や参考書にも記載されているように(甲14の1~4) ,極めて一般的な語であり「復興「再生」を指す言葉として慣用されている。単独で使用さ, 」れるばかりでなく他の語と組み合わせて数多く使用されており,だれもが自由に使用できる語として,いわば人類共通の財産というべきものである。

また,商標としてみた場合は,下記に示すように自他識別機能ないし出所表示機能が弱いウィークマークといえる。

(エ) 上述のように,我が国においては「ルネッサンス」は極めて一般的な語であり,現在では「復興「再生」を指す言葉として,民間だけでなく,官公庁関係においても慣用され,単独であるいは他の語と組み合わせて使用されている。

その使用の,一例として「コスメティックルネッサンス(甲15の1) 「ルネッサンス再生への挑戦」(甲15の2)「薩摩ルネッサンス運動」(甲15の3)「日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会」(甲15の4) 「道路ルネッサンス研究会」(甲15の5) 「ルネッサンスプロジェクト(甲15の6) 「歌舞伎町ルネッサンス」(甲15の7) 「ステーションルネッサンス」(甲15の8) 「ルネッサンスブックス」(甲15の9) 「医療ルネッサンス」(甲15の10) 「教育ルネッサンス」(甲15の11)「 精神医療のルネッサンス」(甲15の12)「 真・ITルネッサンス」(甲15の13)「住まいの産業ルネッサンス塾」(甲15の14)「メディア・ルネッサンス」(甲15の15)等を挙げることができる。」

また,法人名としても使用され,例えば「シニアルネサンス財団」(甲16の1) 「株式会社ルネサンス(飲食業)」(甲16の2) 「株式会社ルネサンス(旅行業)」(甲16の3) 「株式会社ルネサンス(スポーツクラブ) 」(甲16の4の12) 「ルネッサンス株式会社(不動産管理業)」(甲16の5)を挙げることができる。殊に,スポーツクラブのルネッサンスについては,日本国内に約90店舗の展開をしている。(甲16の4の2)

上記のように一般的に使用されている語であるから,商標出願も数多くされており「ルネッサンス」又は同語を含む商標登録出願は,少なく見積もっても517件の出願がある(甲17の1,2)。

さらにまた,ウェブサイトにも多数用いられている。ちなみに検索エンジングーグルでの検索では,およそ255万件,ヤフーの検索ではおよそ309万件が検索された。

(オ) このように「ルネッサンス」の語は,我が国では「復興」「再生」を指す」言葉の代名詞として使用されている例は枚挙にいとまがなく,単独で,又は各種の語と結合して広く使用されていることから,取り立てて注意を引くような標章ということはできず,自他識別機能あるいは出所表示機能に乏しい商標である。

なお,特許庁の審査基準においても,ハウスマークとペットマークとでは周知性の程度に差があるとされているが「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」の標章を含む「ルネッサンス・ホテル&リゾート」は,マリオット・インターナショナルInc.の数あるホテルのうちの一つの商標にすぎず(甲2の1 ,ペット)マークともいうべきもので,この点からも自他識別機能,出所表示機能は弱いというべきである。

ウ 本件商標の一体性の看過

(ア) 本件商標は,商標見本のとおり,明朝体様の同一書体の文字で構成され,本件商標を構成する各文字は,縦線あるいは横線の端部の一部をややはねて表して成り,同一大きさ・同一間隔で横一連に「ルネッサンスホテル創世」と表記したものである(甲10の1,2 。)

観念から区分すると「ルネッサンスホテル創世」の三つの語から構成されているが,各語には外観上軽重の差はなく,外観上まとまりもよく,構成上一体的に看取される。

したがって,本件商標は文字種が異なる片仮名と漢字から構成されてはいるが,外観的構成において結合の程度は強く,一連に一体として認識することを妨げる要素はなく,各文字が端部の一部をややはねて表していること,及び同一書体・同一大きさ・同一間隔であることから「ルネッサンスホテル創世」と一体に看取され,得る構成となっている。

そればかりか,下記のように,その成り立ちから見ても「ルネッサンスホテル創世」と一体に看取され得るものである。

〔本件商標の採択の経緯〕

本件商標「ルネッサンスホテル創世」は「復興」「再生」を指す言葉の,いわば代名詞として広く使用されている「ルネッサンス」の語と,原告が従前から使用してきた「創世」の商標(甲18)を,役務を表す語である「ホテル」を介在させて結合したものである。以下その採択の経緯を説明する。

原告は,昭和53年3月に結婚式場を備え披露宴会場ともなる総合儀式場を設立した。結婚は,新郎・新婦にとっては,2人で新たな人生を切り開くといった門出であり,また,代表取締役社長がクリスチャンであったところから,旧約聖書の「創世記」の理念も考慮して,その総合儀式場を「創世」と命名した。当初は総合儀式場だけであったが,結婚式あるいはその後の披露宴には,遠方からの出席者も多く,顧客から宿泊施設が欲しいとの要望が強くなったので,ホテルを建設することとした。

ホテルの建設に当たっては,単なる宿泊設備の提供だけに留まらず,また,利益優先ではなく,ホテルの利用客を主体とし,利用客に対して人間的な温みのあるもてなし,利用客への癒の提供を考え「人間復興あるいは人間性の復興」を感じてもらうサービスを提供したいという理念で「ルネッサンス」の語を採択した。

「ルネッサンス=人間復興あるいは人間性の復興」は,人間性を「再び起こす」「再び生き返るあるいは作り出す」という意味において,新しく作り出す「創世」と「モノ・コトを出す」という観点において相通じ「再生と創世」といった重畳的な意味を有することも考慮されるとともに,原告が従前から使用してきた「創世」の商標と,役務を表す語である「ホテル」を介在させて結合させ「ルネッサンスホテル創世」と命名した(なお,ホテルの定礎には,旧約聖書「創世記」28-22から抜粋した文言を刻設しており,甲19の1のパンフレットの表紙の裏側及び同号証の2のリーフレット中に掲載している。)

この「ルネッサンス=人間復興あるいは人間性の復興」という考え方や用例は,特別なものではなく,ごく一般的な考え方や用例であり,その一例として「精神医療のルネッサンス― 豊かな人間復興を目指して― (甲15の12 「…人間性の復興とサポートも…思いを込めて『真・IT ルネッサンス』による… (甲15の13)。 「いまこそルネッサンス『住まい・まち』で『人間復興』を(甲15の14) 「人間復興のルネッサンス(甲20の1)」 「ヨーロッパルネッサンスが人間復興を成し遂げた」… (甲20の2) 「イタリアを中心に興った人間復興運動」(甲20の3) 「…日本語訳は『文芸復興』より『人間復興』の方がよい」(甲20の4) 「ルネッサンス―人間復興の時代」(甲20の5) 「人間復興と都市文化への回帰を志向したルネッサンスの時代」(甲20の6)を挙げることができる。」

なお,ホテル経営に対する上記のような理念を実現するために,ホテルの設計をアメリカ人のA氏に依頼し,室内の調度品や絵画,彫刻などもヨーロッパから輸入して,14世紀-16世紀のヨーロッパルネッサンス時代の雰囲気を持ったホテルとしている。(甲19の12)

(イ) 本件商標「ルネッサンスホテル創世」は「ルネッサンス」と「創世」の語を組み合わせて成り,これを含む造語である。そして当該各語意から,本件商標は「ルネッサンス=人間復興あるいは人間性の復興」を考慮した「再生と創世」といった重畳的な意味を有する新しいスタイルのホテルを作り出すといった観念を看取させるものである。したがって,本件商標から「ルネッサンス」あるいは「ルネッサンスホテル」の部分のみを抽出して看取しなければならない格別の理由は存在せず観念の上からも結合の程度は強く本件商標はルネッサンスホテル創世として一連に一体として認識されることを妨げる要素はない。

(ウ) 仮に本件商標を構成している三つの語の一部を抽出するとした場合は「ホテル」の語は,役務を表す普通名称で識別力がないために,単独で抽出することは考えられず「ルネッサンス」や「創世」が単独で抽出されるか,あるいは「ルネッサンス」と「創世」の間に指定役務を指称する「ホテル」の文言が挟まれていることから,その組合せとして「ルネッサンスホテル」や「ホテル創世」が考えられるかもしれない。

しかし,そうすると「ルネッサンスホテル創世」という一つの商標から複数の称呼観念が生じることとなり原告の商標が特定できず取引者需要者において役務の識別あるいは出所表示標識として成り立たないのは明らかである。

したがって「識別機能あるいは出所表示機能の観点からまた本件商標が商標創世」から発展してきた歴史からしても,商標の判断主体たる需要者・取引者は,本件商標からは「ルネッサンスホテル創世」と一体に看取し認識するものというべきである。

(エ) 加えて,元来,本件商標のように,文字のみから成る商標にあっては,通常その文字に相応した称呼,観念を生じるものであるから,語のうちのどれかが日常使用されない特異な語である場合を除き,その商標自体全体として看取されるものである。

殊に本件商標の指定役務の分野においては,例えば「帝国ホテル」や「第一ホテル」など,通常,商標全体が一連に一体として看取されるものであり,ホテルの語を省略して「帝国」や「第一」など一部において略されるものではない。

(オ) さらに,称呼も「ルネッサンスホテルソウセイ」と一連に称呼することを妨げる程冗長なものではなく,一連によどみなく称呼されるものであって,その一部分によって簡略化される商標であるともいえない。

したがって,外観,称呼,観念のいずれの点においても「ルネッサンスホテル創世」と看取されルネッサンスホテルソウセイと一体に称呼されるものである。

エ 類似性判断の誤り

(ア) 本件決定は,下記のとおり認定した。

「本件商標は,前述のとおり『ルネッサンスホテル創世』の文字よりなり,他方,引用商標は『RENAISSANCE』又は『ルネッサンス』の各文字よりなるものである。ところで,両商標を構成する『ルネッサンス』の文字については,…広く一般に知られている語といえるものである。

また,本件商標中の『創世』の文字は,…する語と認められる。また『ホテル』の文字は,…と認められる。

そうすると,本件商標は,両語が結合して特定の意味合いを有する成語を形成するものとは認められないから『ルネッサンスホテル』及び『創世』の各文字を結合したものと理解認識されるものとみるのが相当である。

さらに,…本件商標と引用商標とは,その類似性が極めて高い商標であるといわざるを得ない。

…使用商標の要部として認識される部分は『RENAISSANCE』の文字部分であるから,この点についての商標権者の主張は採用できない(決定8頁30行~9頁18行)」しかし,使用商標の要部として認識される部分は「RENAISSANCE」の文字部分であるという根拠は何ら明らかにはされていない。

上記のように申立人が使用している商標は三段構成であり,共通して使用されている商標の構成部分は,上段の図形商標と中段の「RENAISSANCE」であるから,少なくともこの図形と文字との組み合わせが要部というべきである。

(イ) 商標の類否判断は,外観,称呼,観念において判断されるが,インターネットによる取引形態が日常化している昨今,商標の外観は重要な類否判断の一つであることも考慮されるべきである。現に,申立人の資料の多くはインターネットのウェブページから取得したものである。

上記したように,使用商標は特異な図形商標と欧文字表記の「RENAISSANCE」とホテルの所在地名を含む欧文字表記の文字商標の三段構成であるのに対して,本件商標は片仮名と漢字で横一連に表記され,地名を含まない「ルネッサンスホテル創世」であり,外観を全く異にしている。

したがって,仮に本件決定が認定したように,使用商標の要部として認識される部分が「RENAISSANCE」の文字部分としても,本件商標は一体性を有する「ルネッサンスホテル創世」であるから,外観,称呼,観念のいずれにおいても非類似であり取引者需要者において出所の混同を生じないというべきである。

なお本件商標の出願後に出願され指定役務宿泊施設の提供を含む商標「薩摩ルネッサンス」(甲30の1) 「岡山ルネサンス」(甲30の2) 「京都ルネサンス」(甲30の3)の各商標も,取引者,需要者において申立人の商標とは出所の混同を生じないとして登録となっているのである。

(ウ) また,申立人及び原告以外にも,宿泊施設の提供で「ルネッサンス」の語を使用したホテル(甲23の1) 「ルネサンス」を含む「ルネサンス棚倉」の名称を使用したホテル(甲23の2)もあり(棚倉は地名であり,リゾートである。)いずれも申立人の使用商標とは非類似と認識されているのである。

オ したがって,本件商標をその指定役務について使用した場合,申立人又は申立人と経済的に関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく出所について混同を生ずるおそれがあるとした本件決定の判断は誤りである。

(4) 結び

以上述べたように本件決定には,引用商標及びその周知著名性,及び本件商標と引用商標の出所混同についての認定判断を誤った違法があるから,取り消されるべきである。

2 被告の主張

本件決定の認定判断は正当であって原告主張の取消事由はいずれも理由がない。

(1) 法4条1項15号該当性について

ア 法4条1項15号につき,最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁は「商標法4条1項15号にいう『他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標』には,当該商標をその指定商品又は指定役務(以下『指定商品等』という)に使用したときに,当該商品等が他人の商品又は役務(以下『商品等』という)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下『広義の混同を生ずるおそれ』という)がある商標を含むものと解するのが相当である。けだし,同号の規定は,周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)能を保護することによって,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ,その趣旨からすれば,企業経営の多角化,同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成,有名ブランドの成立等,企業や市場の変化に応じて,周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには,広義の混同を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきであるからである」「そして『混同を生ずるおそれ』の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである」とする。

イ 申立人使用標章の周知著名性について

申立人が国内及び世界各地で運営しているホテルにおいては,それぞれのホテルの名称のほかに「RENAISSANCE」の文字を大きく表し,その下に「HOTELS & RESORTS」( 「SAPPORO HOTEL」 「NARUTO RESORT」 「OKINAWA RESORT」等の場合もある)の文字を小さく表示した商標(以下「使用商標」といい,使用商標と申立人商標を併せて「RENAISSANCE(ルネッサンス)標章」という)を使用している。

RENAISSANCE(ルネッサンス)標章とは,使用商標の要部として認識される「RENAISSANCE」の文字部分のほか「RENAISSANCE 「ルネッサンス」の文字部分の表示であって,申立人及びその親会社であるマリオット・インターナショナル・インコーポレイテッド(以下「マリオット・インタ-ナショナル」といい,マリオット・インターナショナル及び申立人を併せてマリオットグル-プというが自己の業務に係る世界的な系列ホテルを表示するために使用しているものである。

そして異議申立てにおいて提出された証拠本訴(甲2の1~57)(甲3の2)(甲6の1,2,甲7の1,2,甲8の2)及びその他の雑誌,新聞記事,インターネット等の情報(甲6の1,2,乙1~36)によれば,RENAISSANCE(ルネッサンス)標章は,我が国においては,遅くとも本件商標の登録出願時(平成16年9月29日)までには,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテルを表示するものとして,宿泊施設の提供の役務に係る分野の取引者,需要者の間において広く認識され,著名となっていたものであり,かつ,その状態が本件商標の登録査定時(平成17年12月26日)はもとより,現在に至るまでも継続しているというべきである。

以上を総合すると「RENAISSANCE HOTELS RESORTS(ルネッサンス・ホテル&リゾート」は,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテルの一つであって,本件商標の登録出願前から我が国において知られており,かつ,当該ホテルが「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」と指称されていること,R の文字をデザイン化した図形の下に「RENAISSANCE」の文字を顕著に表し,その下に「HOTELS & RESORTS」の文字が表された標章が,当該ホテルを表すものとして,マリオットグループに係るパンフレットやホームページ,あるいは雑誌広告等で本件商標の登録出願前から使用されていること我が国においても「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS」が現に3軒(法4条1項15号該当性の判断の基準時である登録出願時・査定時には5軒)存在しており,様々な雑誌等において広く紹介されていることが認められる。

したがって,RENAISSANCE(ルネッサンス)標章は,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテルを表示するものとして,本件商標の登録出願時(平成16年9月29日)までには,優に我が国の取引者,需要者に広く認識され周知著名なものとなっていたものであって,かつ,その状態が本件商標の登録査定時(平成17年12月26日)はもとより現在に至るまでも継続しているというべきである。

ウ 本件商標とRENAISSANCE(ルネッサンス)標章との類似性について

(ア) 本件商標

本件商標は「ルネッサンスホテル創世」の文字を書して成り,平成16年9月29日に登録出願され,その指定役務を第43類「宿泊施設の提供」として,平成18年1月27日に設定登録されたものである。

本件商標の構成全体は「ルネッサンスホテル創世」の文字を同書同大等間隔で表されているとしても,構成中「ルネッサンス」の文字『再生』の意。13世紀末葉から15世紀末葉にかけてイタリアで起こり,次いで全ヨーロッパに波及した芸術上及び思想上の革新運動・・・文芸再興。学芸再興」の意味を有する語。

ホテルの文字は旅館特に西洋風の宿泊施設の意味を有する語また「創世」の文字は「はじめて世界をつくること。世界のできたはじめ」の意味を有する語(以上「広辞苑(第5版)であって,いずれも一般に知られた語句等であることからすれば,本件商標は,これらの三つの語を結合したものであると容易に把握,理解され得るものである。

そして,本件商標を構成する前記三つの語は,観念上の結びつきもなく,これらの語を結合した本件商標全体から特定の意味合いも生じ得ないといえる。

また,構成中「ホテル」の文字部分は,本件指定役務「宿泊施設の提供」との関係からみれば業種役務の提供場所を表すものとして普通に使用されているから該「ホテル」の文字部分は,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである一方,構成中「ルネッサンス」及び「創世」の文字部分は,本件指定役務の質等を表すものでもなく,自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。

さらに,本件商標の構成全体より生ずる「ルネッサンスホテルソウセイ」の称呼は,13音(促音を含む)と冗長にわたる音構成といえるものである。

加えて,上記イのとおり「RENAISSANCE 「ルネッサンス」の文字は「宿泊施設の提供」等のホテル業において,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテルを表示するものとして,取引者,需要者間に広く知られたホテルのブランド名である。

以上からすれば,本件商標は,その構成全体を常に一体のものとしてのみ把握しなければならない特別の事情は見いだせないといわなければならない。

(イ) 商標の類似性

本件商標は,その構成中に「ルネッサンス」の文字を含んでいる点において,RENAISSANCE(ルネッサンス)標章の「RENAISSANCE」の欧文字とは,称呼及び観念を共通にする部分があり「ルネッサンス」の片仮名文字とは,外観,称呼及び観念を共通にする部分があるということができるから,両者の類似性は極めて高いというべきである。

エ 役務及び需要者層等の関連性

本件商標の指定役務とRENAISSANCE(ルネッサンス)標章が使用されているホテル業とは「宿泊施設の提供」の役務を共通(同一)にするものであり,かつ,そ,の取引者,需要者層をも共通(同一)にするものである。

オ 出所混同のおそれについて

RENAISSANCE ルネッサンス標章の周知著名性の程度本件商標とRENAISSANCE(ルネッサンス)標章との類似性の程度,使用に係る両役務間の密接な関係,取引者,需要者層の共通性等を総合勘案すると,本件商標の登録出願時はもとより,査定時において,原告が,構成中に「ルネッサンス」の文字を有する本件商標を,その指定役務「宿泊施設の提供」に使用した場合には,これに接する取引者,需要者は本件商標に含まれるルネッサンスの文字部分より周知著名な「RENAISSANCE」(ルネッサンス)標章を連想,想起し,本件商標が示すところの「ルネッサンスホテル創世」というホテルが,世界的な系列ホテルである「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS」を業とするマリオットグループ又は同人と何らかの関連を有する者の業務に係るものと認識,把握し,その結果,当該者との間に出所の混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。

したがって,本件商標が法4条1項15号に該当するとした決定の認定判断に誤りはない。

(2) 原告の主張に対する反論

ア引用商標及びその周知著名性の認定の誤りとの主張に対して

(ア) 引用商標認定の誤り(図形商標の看過)との主張に対して

原告が指摘するように,異議申立てに係る証拠中には,R の文字をデザイン化した図形を上段に配し「RENAISSANCE」 の欧文字を中段に配し「HOTELS & RESORTS」(ホテルにより「SAPPORO HOTEL」 「NARUTO RESORT」 「OKINAWA RESORT」等の場合もある)の欧文字を下段に配した三段構成の表示がなされている。。しかしながら,当該表示の構成中,図形部分と文字部分とは視覚的にも分離して看取され,また,図形部分から特定の観念も生じ得ないといえるから,これら全体を常に一体のものとしてのみ把握しなければならない特別の事情も存しないものであって,図形部分と文字部分は,一見して,それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものといえる。

加えて,当該文字部分中「RENAISSANCE」の文字は,大きく,かつ,ゴシック体風の太字をもって,視覚上看者の注意を強くひくような態様で表示しているのに対し「HOTELS & RESORTS」 ホテルにより「SAPPORO HOTEL」 「NARUTO RESORT」「OKINAWA RESORT」等の場合もある)の文字は「RENAISSANCE」の文字の下端に小さく表示した態様で表示され,上段の「RENAISSANCE」の語を「ホテルとリゾート」あるいは「ホテルの場所」等の意味合いで形容する語と看取される結果,自他役務の識別標識としての機能を果たす主要部は「RENAISSANCE」の文字部分にあるといえるから,該文字部分に接する取引者,需要者は,視覚的に顕著に表された「RENAISSANCE」の文字部分に着目するであろうことは,取引の経験則に照らして極めて自然なことといえる。

このことは「一般に簡易,迅速をたっとぶ取引の実際においては,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものと認められない商標は,常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,しばしば,その一部だけによって簡略に称呼,観念され,一個の商標から二個以上の称呼,観念の生ずることがあるのは,経験則の教えるところである(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁)と判示されていることからも明らかである。

さらに,異議申立てに係る証拠や乙各号証によれば,欧文字の「RENAISSANCE」の表音を片仮名表記した「ルネッサンス」の文字が「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS」を指称するものとして,我が国の札幌,鳴門,沖縄のウェブサイトを始め,マリオット・インターナショナルのウェブサイト(日本語版)等において実際に使用されているところである。

したがって,本件決定が「RENAISSANCE」及び「ルネッサンス」を引用商標( RENAISSANCE(ルネッサンス)標章)としたことに誤りはない。

(イ) 周知著名性認定の誤りとの主張に対して

前記(1)イで述べたとおり,異議申立手続において提出された証拠(枝番を含む本訴甲1ないし甲9)によって,RENAISSANCE(ルネッサンス)標章が,本件商標の登録出願前に,我が国において,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテルを表示するものとして広く認識されていたということができるのに加え,本準備書面において提出する乙各号証によっても,そのことは十分に裏付けることができるものである。

また,国内における「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS」は,法4条1項15号の判断の基準時である登録出願時(平成16年9月29日)及び登録査定時(平成17年12月26日)には,札幌,鳴門及び沖縄に加えて,東京及び岐阜の5軒が存在していたのであるからわずか3軒のホテルで使用されているにすぎないとの原告の主張は,そもそも法4条1項15号の判断の基準時を誤っているものであるといわざるを得ない。

さらにいえば,現在我が国における「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS」が,札幌,鳴門及び沖縄の3軒であるとしてもそのことから直ちにRENAISSANCE ルネッサンス)標章の著名性が否定されるものではないし,当該標章の著名性が,国内に存するホテルの軒数のみで決まるものでもない。

「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS」の全世界における軒数は,2000年10月時点で22か国99軒乙1 2006年7月26日時点で32か国137軒(乙11 ,現在では,35か国にも及び,142軒に達しているのである。

加えて,毎年多くの日本人が海外旅行等に出かけていることなどを踏まえれば,たとえ現在国内の当該ホテルが3軒であるとしてもそのことよりRENAISSANCE (ルネッサンス)標章の表示が,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテルを指称するものとして,我が国におけるホテル業界のみならず,一般の需要者にも広く認識されていたことが,直ちに否定されるものではない。

また,原告のいう「特許庁編集の周知商標集」とは,インターネット上の特許電子図書館(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)における「日本周知・著名商標検索」のことと思料するが,これは,防護標章として登録されている登録商標及び審決・判決において周知・著名な商標として認定された登録商標の検索ができるものであって,網羅的なものではなく,周知・著名な商標がここに掲載されているものに限定されるわけではない。

イ 出所混同の判断の誤りとの主張に対して

(ア) 引用商標は非独創的標章で自他識別機能が弱いとの主張について

「RENAISSANCE」及び「ルネッサンス」の文字が既成語であって,中学生,高校生の教科書や参考書にも掲載されている極めて一般的な語であるとしても,本件指定役務「宿泊施設の提供」との関係においては,当該役務の質等を表すものでもなく,十分に自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものとして認識,理解されるものである。

加えて「RENAISSANCE」 「ルネッサンス」の文字は,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテル(RENAISSANCE HOTELS & RESORTS)を表示するものとして,周知著名性を獲得しているというべきであるから「RENAISSANCE 「ルネッサンス」の文字が,単に広く知られた既成語であるということを主たる理由として,識別力が乏しいとする原告の主張は,失当である。

(イ) 本件商標の一体性看過との主張に対して

① 本件商標の採択の経緯について

原告がどのような意図をもって本件商標を採択したとしても,商標採択の意図により,本件商標が一体のものであるか否かが定まるものではなく,かつ,本件商標に接する取引者,需要者が,そのような意図に沿ってのみ本件商標を理解,認識するものともいい難い。

② 観念について

a 原告も自認するとおり,本件商標は「ルネッサンス「ホテル」及び「創世」の三つの語を結合したものと容易に把握,理解されるものであるところ,全体として観念上の結びつきもなく,これらの語を結合した本件商標全体から特定の意味合いも生じ得ないといえ,本件商標全体を常に一体のものとしてのみ把握しなければならない特別の事情は存しないというべきである。

b また,一つの商標から複数の称呼,観念が生じ得ることは,最高裁において「一般に簡易,迅速をたっとぶ取引の実際においては,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものと認められない商標は,常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,しばしば,その一部だけによって簡略に称呼,観念され,一個の商標から二個以上の称呼,観念の生ずることがあるのは,経験則の教えるところである(前記最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決)と判示されていることからも明らかである。

③ 称呼について

本件商標の構成全体より生ずる称呼は,原告自認のとおり「ルネッサンスホテ,ルソウセイであり促音を含め13音と冗長にわたる音構成といえるものである。

④ まとめ

原告は「従って外観,称呼,観念のいずれの点においても『ルネッサンスホテル創世』と看取され『ルネッサンスホテルソウセイ』と一体に称呼されるものである(原告第1準備書面19頁8行ないし10行)と主張するが以上のとおり本件商標は,原告が主張するような一体性を看取させるほどの強い結びつきはないというべきである。

(ウ) 類似性判断の誤りとの主張に対して

① 原告が主張するように,インターネットを中心とする「視覚」に訴える情報媒体が普及することによって,広告・役務表示等において,図形の持つ情報伝達力が重要性を増してきているということについては,被告もこれを否定するものではないが,そうであるからといって,文字の持つ情報伝達力が重要であることに変わりはないし,簡易,迅速をたっとぶ取引の実際においては,商標が構成全体の一部の文字部分だけによって称呼,観念されることがあり得るというべきである。

本件指定役務「宿泊施設の提供」との関係でいえば,例えば,電話での宿泊施設の予約等において,また,一般に,取引社会においては,口頭で相手に商標を伝達する場合が少なくなくその場合言葉で表現しにくい図形部分ではなくまずは称呼が容易な文字部分をもって取引に当たることは,至極当然のことといえ,そのような場にあっても,常に,図形部分を捨象せずに取引がされることは,特段の理由がない限り,一般には考えにくいところである。

そして,前記したとおり,本件商標とRENAISSANCE(ルネッサンス)標章とは,本件商標の構成中前半部に「ルネッサンス」の文字が含まれていることからすれば,両者の類似性は極めて高いといわなければならない。

② また,法4条1項15号は「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定しているのであるから,たとえ,本件商標の出願後に出願された「ルネッサンス」の文字を含む商標が登録されていたとしても,そのことによって,マリオットグループによって使用される「RENAISSANCE」(ルネッサンス)標章の周知著名性が失われるということに結びつかない限り本件商標を使用した役務と「RENAISSANNCE」「 ルネッサンス」標章を使用した役務との間の,出所の混同のおそれの有無の判断が影響を受けることはないというべきである。そして,原告提出の全証拠によってもそのような事実は存しない。

また,仮に,申立人及び原告以外に,宿泊施設の提供で「ルネッサンス」の語を使用した名称のホテルがあったとしてもそのことが本件商標とRENAISSANCE ルネッサンス標章の類似性の程度に直ちに影響を与えるものということはできない。

(エ) 出所混同の判断の誤りとの主張に対して

① 「RENAISSANCE 「ルネッサンス」の文字が「再生」の意味を有する既成語」であるとしても,本件指定役務の質等を表すものでもなく,十分に自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであることに加え,当該文字がホテル業界においては,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテル(RENAISSANCE HOTELS & RESORTS)を指称するものとして著名であることは,先に述べたとおりであるから,当該文字が「自他識別機能,出所表示機能は弱い」うんぬんなどということはできない。

そして,取引者,需要者が,原告が指摘するところの,いわゆる「三段構成の結合商標」又は「二段構成の結合商標」に接したとしても,これらを常に一連一体のものとしてのみ把握しなければならない特段の理由もなく,これよりは,先に述べたとおり,構成中の「RENAISSANCE」の文字部分が,周知著名性を有しているということができ,当該文字部分が本件商標との関係で問題になる標章といえる。

② また,本件商標は,原告も自認するとおり「ルネッサンス「ホテル」及び「創世」の語から成る結合商標と認識し得るものであって,その構成中に,本件指定役務「宿泊施設の提供」との関係において著名な「ルネッサンス」の文字が含まれていることからすれば,これに接する取引者,需要者は,これよりは,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテル「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS」と何らかの関連を有するホテルであろうと容易に認識し,理解するということができる。

③ そして,RENAISSANCE(ルネッサンス)標章が,本件指定役務「宿泊施設の提供」に係る分野において,我が国の取引者,需要者間において周知著名性を有していることからすれば,本件商標をその指定役務について使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,その構成中「ルネッサンス」の文字から前記標章を連想,想起し,該役務がマリオットグループ又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく,役務の出所について混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。

しかも,本件商標の商標登録を認めた場合には,RENAISSANCE(ルネッサンス)標章の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や,その希釈化(いわゆるダイリューション)を招く結果を生じ兼ねないと考える。

したがって,本件商標は,法4条1項15号に該当する。

(4) 結論

以上のとおり,原告の主張はいずれも失当であるから,本件商標が法4条1項15号に該当するとした本件決定の認定判断に誤りはなく,本件決定に取り消されるべき理由はない。

当裁判所の判断

1 引用商標及びその周知著名性の認定について

(1) 申立人等の使用に係る標章

ア(ア) 申立人は,米国ホテルチェーン大手のマリオット・インターナショナルの子会社であり,平成14年(2002年)6月時点で,世界において124軒の「ルネッサンス・ホテル・アンド(&)リゾート」の経営にかかわっている(甲2の1) 。また,申立人は,平成18年(2006年)1月時点で我が国を含む31か国,うち米国では27州において(甲2の5 ,同年7月時点で世界32か国で137軒の(乙11 「Renaissance Hotels & Resorts」チェーンを経営又はフランチャイズ展開している。

申立人は,我が国において,昭和62年10月から東京都中央区で「ルネッサンス東京ホテル・銀座東武」(客室数197)の,平成3年9月から札幌市で「ルネッサンスサッポロホテル」(客室数323)の,平成5年7月から沖縄県国頭郡恩納村で「ルネッサンスリゾートオキナワ」(客室数392)の,平成6年1月から徳島県鳴門市で「ルネッサンスリゾートナルト」客室数208の,平成7年7月から岐阜市で「ルネッサンス岐阜ホテル」の経営にかかわってきたが(甲2の2,甲3の2,乙11) 「ルネッサンス岐阜ホテル」は平成18年1月から「岐阜都ホテル」と名称を変更し(甲4の1,2) 「ルネッサンス東京ホテル・銀座東武」は平成19年4月から「コートヤード・マリオット東京銀座」と名称を変更し(甲29) 現在,我が国において,申立人が経営にかかわっているホテルは「ルネッサンスサッポロホテル」「ルネッサンスリゾートオキナワ」及び「ルネッサンスリゾートナルト」の3軒である。

申立人は,日本国内において,これら5軒のホテルの経営につき,片仮名表記のルネッサンスも使用し又は使用していた。(甲2の2 甲3の2 甲4の1)

(イ) 申立人が権利者である「RENAISSANCE」の欧文字から成る申立人商標1(登録番号:第3244113号。甲1の1)は,平成4年9月30日に指定役務を「宿泊施設の提供」等として登録出願され,平成9年1月31日に設定登録され,また,申立人が権利者である「ルネッサンス」の片仮名文字を横書きして成る申立人商標2(登録番号:第4536730号。甲1の2)は,平成12年4月28日に指定役務を「宿泊施設の提供」として登録出願され,平成14年1月18日に設定登録された。

(ウ) 申立人が経営にかかわるホテルにつき,日本語表示を含むマリオットグループのウェブサイト,パンフレット,広告において,右の表示のとおり, R の文字をデザイン化した図形の下に「RENAISSANCE」の欧文字を大きく,かつ,ゴシック体風の太字をもって表示し,その下に「HOTELS & RESORTS」の欧文字を小さく表示した標章(以下「申立人商標3」という)が使用されている(甲2の2~5,甲6の1,2,甲8の2,乙17,18,22,23。)また,申立人商標3の「HOTELS & RESORTS」の文字部分が「ルネッサンス東京,ホテル・銀座東武」では「TOKYO HOTEL GINZA TOBU」に(甲3の2 「ルネッサンスサッポロホテル」では「SAPPORO HOTEL」に(甲11,乙21) 「ルネッサンスリゾートナルト」では「NARUTO RESORT」に(甲7の1,乙20 「ルネッサンスリゾートオキナワ」では「OKINAWA RESORT」 に(甲7の2 乙19)それぞれ変更した標章も使用され,又は使用された。

さらに,申立人は,経営に関与する海外のホテルにおいても,本件商標3の「HOTELS & RESORTS」の文字部分を,当該ホテル名に変更した標章を使用している(甲12の1~3 。)

イところで「簡易,迅速をたっとぶ取引の実際においては,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものと認められない商標は,常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,しばしば,その一部だけによって簡略に称呼,観念され,一個の商標から二個以上の称呼,観念の生ずることがあるのは,経験則の教えるところである(前掲最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決)とされる。」

これを本件についてみるに,上記ア(ウ)のとおり,申立人商標3は「R」の文字をデザイン化した図形を上段に配しの欧文字を中段に配し,「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS SAPPORO」 「HOTEL NARUTO 」「(ホテルにより「RESORT」等の場合もある)の欧文字を下段に配した「OKINAWA RESORT」三段構成の結合から成るものであるところ,①1段目の図形部分と2段目及び3段目の文字部分とは視覚的にも分離して見て取られ,また,図形部分から特定の観念も生じ得ないものであること,②同文字部分のうち2段目の「RENAISSANCE」の文字は,大きく,かつ,ゴシック体風の太字をもって表示しされており,また,フランス語で「再生」を意味するとともに,14世紀から16世紀にイタリアを中心に西欧で興った古典古代の文化を復興しようとする歴史的・文化的諸運動を指す明確な意味を持つ語であること(甲13,14の1~3 ,③3段目(ホテルにより「RESORTS SAPPORO HOTEL」 「NARUTO HOTELS & RESORT」 等の場合もある)の文字は「RENAISSANCE」の文字の「OKINAWA RESORT」下段に,同文字よりも小さく表示され,その上段の「RENAISSANCE」の語を「ホテルとリゾート」又は「ホテルの所在地」等の意味合いで形容する語と見て取れることからすると,申立人商標3のうち「RENAISSANCE」の部分と他の部分とは,それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものではないから,申立人商標3から「RENAISSANCE」の外観,称呼,観念等が生じていると認めることができる。

(2) 申立人等の使用商標の周知著名性等の有無

ア 海外の状況

(ア) 「世界の一流ホテルに誰よりも安く泊まれる超すべて2001最新版」(平成12年12月15日株式会社メディアファクトリー発行)において,①「世界を代表する19のホテルチェーン」の項の「割引レートはホテルごとに発表するマリオット・インターナショナル」の見出しのもと「表3 マリオットの目的と予算で細分化された主要ブランド」中の「【ルネッサンス・ホテル&リゾート】」の欄に「米国内を中心に世界22カ国の,都市中心部や空港近くに立地。リゾートを含め全99軒とホテルチェーンネットワーク早分かり表ヨーロッパ・中近東中の「ルネッサンスマリオット」の欄に,各エリアに立地するホテル軒数としてほかドイツ8 ウィーン2 ほかオーストリア1 チューリヒ1「オランダ1」 「ロシア1」 「ほか中・東欧2」 「イスラエル3」 「エジプト1」 「ドバイ1」との紹介記事,②「マリオット・インタ-ナショナル」につ」いては「本社:米国ワシントンDC。創業:ホテル事業1957年。ホテル軒数: 世界59カ国2000軒以上(2000年10月現在。主要ブランド:マリオット,ルネッサンス,リッツ・カールトン,ラマダ,フェアフィールドなど14ブランド・・」と記載され「97年3月に『ルネッサンス』を買収し・・名実とともに世界最大級のホテルチェーンとなったとの紹介記事が掲載されている(乙1)

(イ) 「るるぶワールドガイドアメリカ西海岸」平成17年11月1日(JTB パブリッシング発行)には「ロサンゼルス「泊まる」の項中に「Renaissance ,Hollywood /ルネッサンス・ハリウッド」が「交通:ハリウッド/ハイランド駅から徒歩約3分,客室637室,ハリウッドサインを望むハリウッド&ハイランド内に立つ4つ星ホテル。ポップで大胆なミッドセンチュリーと,モダンなデザインが生み出す空間はおしゃれだ。客室はすべてデラックスタイプとなっており,地元アーティストのアート作品が飾られている。エンターテイメント業界の人もよく利用する」と,また「サンフランシスコ「泊まる」の欄中に「ルネッサンス・スタンフォード・コート/ Renaissance Stanford Court」が「ノブ・ヒル館内には壁画やステンドグラスなどが多数飾られ,アンティークなインテリアが魅力」との紹介記事が掲載されている(乙2)

(ウ) 「るるぶワールドガイドニューヨーク」(平成17年5月1日JTB パブリッシング発行)には最高級&高級ホテルの項中に「Renaissance New YorkHotel /ルネッサンス」が「客室305室ホテル入口の大時計が特徴7番街,ブロードウェイの交差点ちょうど2本の道路にはさまれるようにして立つホテル。内部はアール・デコ調の凝ったインテリアだミュージカルを見るなら最高の立地客室は高級感あふれる木の家具を中心にしたクラシカルな内装」との紹介記事が掲載されている。(乙3)

(エ) 「地球の歩き方リゾート309 ホノルル&オアフ島」〔第8版〕(平成18年4月21日株式会社ダイヤモンド・ビッグ社発行)には「ホテル案内高級,ホテル」の項中に「Renaissance Ilikai Waikiki Hotel」について「港の景色が気持ちいいリニューアルホテルルネッサンス・イリカイ・ワイキキ・ホテル1964年創業,ワイキキの老舗ホテルのひとつ・・建物は16階建てヨットハーバー・タワーと26階建てのイリカイ・タワーから成り,イリカイ・タワーの客室は55.8㎡と広めで,大きく取った開放的な窓が部屋全体を明るい雰囲気にしている。3~22階まではホテルでは珍しいフルキッチンを装備。23~25階はデラックスオーシャンビューと2タイプのスイートがある・・・」との紹介記事が掲載されている(乙4 。)

(オ) 「地球の歩き方海外出張シリーズビジネス・トラベルガイドアメリカ」(平成9年12月26日株式会社ダイヤモンド・ビッグ社発行)には,「WASHINGTON D.C.ホテル」の項中に「ルネッサンス・メイフラワー・ホテル/Renaissance Mayflower Hotel」について「'25年に創業のD.C.のランドマーク的ホテル。歴代大統領の就任祝賀会場となる伝統的なホテルで,客室はエレガントなクラシック調。トレンディなコネチカット通りに面している」と,また「ルネッサンス・ワシントン・ホテル/ Renaissance Washington D.C. Hotel」について「ワシントン・コンベンション・センターの前にあるモダンなコンベンション・ホテルとさらにKEY WORD HOW TO STAY の項のホテル予約センター中に「ルネッサンスホテルズインターナショナル」について「アメリカをはじめ世界各地に点在するルネッサンスホテルやラマダホテルなどの予約を取扱うとの紹介記事が掲載されている(乙5)。

(カ) 住友信託銀行の産業調査レポートNo.13「好調を維持する外資系ホテルチェーンの動向」(2001.3.4 住友信託銀行調査部)と称するホテルチェーンの動向調査の「2.世界のホテル再編の動き」の項において「欧米では90年,代後半に大手ホテルオペレーターによるM&A が繰返され,マリオット,スターウッド,ヒルトンなどが大きく客室数を伸ばした(表2 ・・」の記事とともに,表2の「世界のホテルチェーンランキング(99年」中で,マリオット・インターナショナル(Marriott International) (米)が,客室数(355,900)世界第3位として挙げられており,その主なホテルブランドの一つとして「Renaissance」が掲載されている(乙6 )。

(キ) 平成20年2月14日時点の海外ホテル・旅行情報「WAKETRAVEL」と称するウェブサイトにおいて,海外ホテルの検索・掲載の「エリア別おすすめ海外ホテルPICUP!」で「RENAISSANCE ルネッサンス」の「バンクーバー(カナダ・プレイス」が「コーラルハーバーに面している高級ホテル。客室は落ち着いた内装やインテリアでまとめられており快適な滞在を期待できるでしょう・・とプラハ(マサリク駅」が「共和国広場や地下鉄ナミエスティ・レプブリキ・・・駅からもすぐの位置にある,旧市街では珍しい現代的な外観の建物。少し広めの客室は淡い色調でまとめられており,ゆったりと滞在する事ができます」と紹介されている(乙7)。

(ク) 平成20年2月14日時点の感動大陸と称するウェブサイトにおいて上海のホテルの予約-1つ星から5つ星まで多数の上海のホテルの紹介としてルネッサンス上海浦東/ RENAISSANCE SHANGHAI PUDONG HOTEL 上海淳大萬麗酒店が5つ星のホテルとして「ルネッサンス上海浦東は浦東地区に2003年オープンしたデラックスなホテルです。ロビーは吹き抜けになった明るい雰囲気で,中国の伝統と上海の近代的なデザイ・・・」と紹介されている(乙8)。

(ケ) 平成20年2月15日時点の「海外ホテル予約サイト」と称するウェブサイトの「世界のホテルチェーン」において「R」の項に「RENAISSANCE HOTELS & RESORTS」が「MARRIOTT INTERNATIONAL ブランドの1つ。クオリティ・クラスの世界的ホテルブランドで,豪華なホテルライフを期待する旅馴れた方々に選ばれています」と紹介されている(乙9)。

(コ) 1993年平成5年1月4日付けの「RENAISSANCE HOTELS・RESORTS」と称する旅行代理店向けパンフレットにおいて,日本を含む世界各地53か所の「RENAISSANCE HOTEL & RESORTS」が紹介されている(乙10)。

(サ) 平成19年12月11日付け「日経産業新聞」1頁において「米欧企業/成長フロンティア」の見出しのもと「米マリオット」が取り上げられており,その記事の中で「十七あるマリオットの傘下ブランドの中で『ルネッサンス』は高級ホテルの位置付け・・・」と,また,主なブランドとして「ルネッサンス」が記載されている(乙12)。

(シ) 平成20年2月14日の時点の「ホテルチェーン・ブランド一覧」と称する日本語のウェブサイトにおいて「ルネッサンス」がマリオット・インターナショナルのホテルのブランドとして紹介されている。そして,ルネッサンスのホテルの所在地として,〔アジア〕インドネシア(バリ),フィリピン(マニラ,ベトナム(ホーチミン),マレーシア(クアラルンプール),韓国(ソウル),中国(香港,上海,蘇州,武漢,北京),ハワイ(マウイ島),〔ヨーロッパ〕オーストリア(ウィーン),オランダ(アムステルダム),スイス(チューリッヒ),チェコ(プラハ),ドイツ(ミュンヘン),フランス(パリ),ベルギー(ブリュッセル),〔北米アメリカ〕(オーランド,サンフランシスコ,シアトル,シカゴ,ニューオリンズ,ニューヨーク,フェニックス,ラスベガス,ロサンゼルス,ワシントン),〔カナダ〕(トロント,バンクーバー)がロケーションごとに独自のスタイルを打ち出し,それぞれの土地の文化を感じられる雰囲気を作り出しているホテルとして紹介されている(乙17)。

(ス) 平成20年2月21日時点のマリオット・インターナショナルのウェブサイト(日本版)において,マリオットのブランドの一つとして「ルネッサンス・ホテル&リゾート」について「ユニークというのは素敵なことです。ことユニークという点に関しては,どこを探してもルネッサンス・ホテル&リゾートに並ぶホテルは見つからないでしょう。世界の主要都市やリゾート地に位置し,それぞれのホテルの土地柄を反映した風情とサービスによって,お客様に一生忘れられないひと時をお届けしますとの記載があり我が国の3軒のホテル札幌,沖縄,鳴門を始め,韓国,タイ,中国,フィリピン,ベトナム,マレーシア等の各国に存する同ホテルが紹介されている(乙18)。

イ 日本の(一般的)状況

(ア) 平成19年1月14日付け「FujiSankei Business 」3頁において【ランキング・ランド日本のホテルの宿泊客満足度】の見出しの下ルネッサンスが,1泊3万5000円以上で対象となった16のホテルグループ・チェーンの中の一つに選ばれ,調査の結果「インターコンチネンタルホテル」及び「ヒルトン」に次いで第14位と,最下位の「ホテルニューオータニ」よりも上にランクされている旨の記載がある(乙13)。

(イ) 平成17年6月25日付け「日経プラスワン」1頁において「リゾート,ホテルのエステ&スパ/心も磨く至福の空間(何でもランキング」の見出しのも)と,ルネッサンスリゾートオキナワが6位に,ルネッサンスリゾートナルトが8位に入っている旨の記載がある(乙14)。

ウ 「ルネッサンスサッポロホテル」について

(ア) 「日経トレンディMARCH 2002 (平成14年3月,日経ホーム出版社発行)にはトップホテルを5年ぶり大調査日本のホテルランキング111の見出しのもとに「札幌・名古屋・福岡22ホテル宿泊チェック結果一覧」の項中に「サッポロルネッサンスホテル総合得点69」とあり,総合得点が,札幌で第1位との紹介記事が掲載されている(乙24)。

(イ) 結婚等情報誌「ゼクシィ北海道版」(株式会社リクルート発行)の「平成」17年10月号,同年11月号,同年12月号,平成18年1月号,同年3月号同年5月号」には「ブライダルフェアページ」に「ルネッサンスサッポロホテル」が紹介されている(乙25)。

(ウ) 宿泊等情報誌「じゃらん北海道版」(株式会社リクルート発行)の平成17年9月号には「洗練された空間とサービス。上質で優雅なひとときをお得なプランで確かめよう」との見出しの下「ルネッサンスサッポロホテル」が紹介されている(乙26 )。

(エ) フリーペーパー「シティライフ」(株式会社道新サービスセンター発行)の平成17年7月22日号には「ヘルシー食材を使った本格中華『美麗華特選美肌コースの見出しの下ルネッサンスサッポロホテルが紹介されている(乙27)。

(オ) 情報誌「ontona」(株式会社道新サービスセンター)の平成17年9月14日号には「中国料理ダイニング『美麗華』誕生1周年中国古典楽器の生演奏を聴きながらフカヒレざんまいのコースに舌鼓」の見出しのもと「ルネッサンス,サッポロホテル」が紹介されている(乙28 )。

(カ) 平成20年2月20日時点の近畿日本ツーリストの「knt!」と称するウェブサイトにおいて「ルネッサンスサッポロホテル」が「豊平川の河畔に位置し,静かな環境のなか,ハイグレードなサービスと快適な空間をご提供します。和食,洋食・中華の各レストランはいずれも本物指向のこだわりを持ち,お客様をおもてなしいたします・・」と紹介されている(乙29 )。

エ 「ルネッサンスリゾートナルト」について

「婦人公論」(中央公論新社発行)の平成16年6月22日号(No.1155) には『阿波の國で初夏の光と風に誘われて南欧リゾート』の見出しの下「ルネッサンスリゾートナルト」が『阿波の國』の極上リゾートで美食三昧さてそのような地中海や南欧を思わせる阿波の國リゾートの拠点にしたいのがルネッサンスリゾートナルト」との紹介記事が掲載されている(乙30)。

オ 「ルネッサンスリゾートオキナワ」について

(ア) 情報誌「るるぶ沖縄2006 」(JTB パブリッシング発行)には「巻頭特集南国バカンス」の項中に「ルネッサンスリゾートオキナワ」が紹介されている(乙31 )。

(イ) 雑誌「家庭画報平成18年7月号」(株式会社世界文化社発行)の別冊付録ホテル100膳最新版には全国選りすぐりリゾートで優雅な休日の見出しのもと「ルネッサンスリゾートオキナワ」が紹介されている(乙32)。

(ウ) 雑誌「GLAMOROUS 2006 July」 (株式会社講談社発行)には,「RENAISSANCE RESORT OKINAWA /ルネッサンスリゾートオキナワ」が紹介されており「那覇空港から車で約50分,沖縄を代表するリゾートホテルのひとつ客室全室がバルコニー付きで,ムーンビーチに臨んでいる絶好のロケーションでも知られる」との記載がある(乙33)。

(エ) 雑誌「Oggi JULY 2006 」(株式会社小学館発行)には「ottimo(オッティモ)」の項中に「ルネッサンスリゾートオキナワ」が「リムジンでお迎えから始まるルネッサンスリゾートオキナワ」と紹介されている(乙34)。

(オ) フリーペーパー「hb HEALTHY & BEAUTY」( 株式会社マンダラハウス発行)(なお「h」の文字は反転している)「SUMMER 2006 Vol.01」には「巻頭特集どちらがお好き沖縄vs 富良野対決」の見出しの下「ルネッサンスリゾートオキナワ」が紹介されており,2枚目右下に,R の文字をデザイン化した図形の下に「RENAISSANCE」の文字を表し,その下に「OKINAWA RESORTS」の文字が表されている(乙35)。

(カ) 平成16年6月3日付け「琉球新報」朝刊9頁において「ルネッサンスが優秀ホテルに/ JTB 旅連が選定/サービス,設備など総合的に評価」の見出しのもと「・・・ルネッサンスリゾートオキナワはこのほど,JTB 協定旅館ホテル連盟の二〇〇三年度サービス優秀旅館ホテルに選ばれた。宿泊客アンケートで従業員のサービスや設備,食事,料金などを総合的に評価。JTB 沖縄では『ソフト,ハード両面で,良い評価が得られた結果だ』と説明している・・サービス優秀旅館ホテルの選定は,JTB がはがきで実施する宿泊客アンケートに基づき実施。同旅連加盟の四千四百五十四施設から,大,中,小規模客室の部門別で選考する。客室八十室以上の大規模客室部門は一千百十九施設が対象となり,ルネッサンスリゾートを含む全国三十一施設が選ばれた」と記載されている(乙15)。

(キ) 平成19年6月12日付け「琉球新報」朝刊9頁において「06年度サービス優秀旅館受賞/ルネッサンスリゾート」の見出しのもと「ルネッサンスリゾートオキナワ」(恩納村)がJTB 協定旅館ホテル連盟(JTB 旅ホ連)の二〇〇六年度サービス優秀旅館ホテル大規模部門に選ばれた同ホテルの同受賞は五回目・・・サービス優秀旅館ホテルの選定は,JTB が実施する宿泊客へのアンケートに基づき,毎年行われている。旅ホ連加盟の全国四千二百四十七施設から,客室数に基づき大規模,中規模,小規模の部門別で選考する。ルネッサンスリゾートは大規模部門で選ばれた」と記載されている(乙15)。

(ク) 平成20年2月25日時点の毎日就職ナビ2008とのウェブサイトにおいてルネッサンスリゾートオキナワ株H P D コーポレーションの会社概要として「私たちが運営しているホテルの一つ,ルネッサンスリゾートオキナワの“RENAISSANCE”はマリオット・インターナショナルという世界的なホテルチェーンのブランド“ルネッサンスホテル・アンド・リゾート”であり高級ホテルブランドカテゴリーに属しています」と記載されている(乙16)。

カ マリオットグループが経営するホテルの日本人の会員数,利用者数等マリオットグループが経営するホテル(申立人経営の「ルネッサンスホテル」を含む)の日本人メンバーシップ会員数は,平成15年(2003年)が約19万人,平成16年(2004年)が約22万人,平成17年(2005年)が約26万人であり,また,申立人が直接又は間接的に経営に関与する世界中の「ルネッサンスホテル」に宿泊した人数と売上高は,平成15年(2003年)が約825万人で約10億US ドル,平成16年(2004年)が約859万人で約12億US ドル,平成17年(2005年)が約995万人で約14億US ドルであり,また,そのうち日本人の数とその売上高は,平成15年(2003年)が約5万4000人で約630万US ドル,平成16年(2004年)が約7万8000人で約1090万US ドル,平成17年(2005年)が約8万3000人で約1220万USドルであった(乙11)。

キ 小括

以上の事実及び前記(1)アの事実によれば,①本件商標の原出願日である平成16年9月29日及び登録査定日である平成17年12月26日の各時点ころにおいて,申立人は,米国内を中心に,世界約30か国において約130軒のホテルを経営しており,また,申立人が直接又は間接的に経営に関与する世界中の「ルネッサンスホテル」に宿泊した人数と売上高は,平成16年(2004年)が約859万人で約12億US ドル,平成17年(2005年)が約995万人で約14億USドルであり,また,そのうち日本人の数とその売上高は,平成16年(2004年)が約7万8000人で約1090万US ドル,平成17年(2005年)が約8万3000人で約1220万US ドル等であって,平成16年及び平成17年における世界全体の「ルネッサンスホテル」チェーンの宿泊客中の日本人の割合は1%弱であったこと

②平成16年,17年時点において,申立人が営業にかかわる国内のルネッサンスの名称を付したホテルはその名称を付けた営業がそれぞれ昭和62年10月からの東京都中央区所在のルネッサンス東京ホテル・銀座東武(登録出願時である平成16年9月までで約17年間),平成3年9月からの札幌市所在の「ルネッサンスサッポロホテル」(同約13年間),平成5年7月からの沖縄県国頭郡恩納村所在の「ルネッサンスリゾートオキナワ」(同約11年間)平成6年1月からの徳島県鳴門市所在の「ルネッサンスリゾートナルト」(同約11年間)及び平成7年7月からの岐阜市所在の「ルネッサンス岐阜ホテル」(同約9年間)の5軒であったこと(なお「ルネッサンス岐阜ホテル」は平成18年1月から「ルネッサンス東京ホテル・銀座東武」は平成19年4月から「ルネッサンス」の名を外し,これ以降,国内の申立人にかかわる「ルネッサンスホテル」は3軒となっている,③平成16年,17年の時点までの海外への旅行情報誌において,特に主として米国におけるホテルの紹介中に,申立人が直接又は間接に経営にかかわるルネッサンスホテルが紹介されていたこと④平成17年にいずれも北海道版の結婚等情報誌や宿泊等情報誌において「ルネッサンスサッポロホテル」が紹介されていたこと,⑤平成16年,17年に,雑誌等において,「ルネッサンスリゾートナルト」や「ルネッサンスリゾートオキナワ」がリゾート用ホテルとして紹介されていたこと,⑥平成16年に,沖縄県の地元新聞にて「ルネッサンスリゾートオキナワ」がJTB 協定旅館ホテル連盟の2003年度サービス優秀旅館ホテルに選ばれた旨の報道がされたこと,⑦平成17年に,北海道の地元新聞社関連の出版物において「ルネッサンスサッポロホテル」内のレストランの紹介記事が掲載されたことが認められる。

これによれば,平成16年,17年時点において,①申立人に係るホテルの「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」の標章は,海外旅行用の出版物を通じるなどして,我が国の海外旅行者においては,海外,殊に米国を中心として所在するホテルチェーンの名称として一定の知名度を有し「宿泊施設の提供」において相当程度認識されていたと判断されるが,他方,②国内に所在する申立人が経営にかかわる「ルネッサンスホテル」については,その所在地が札幌市,東京都,岐阜市,徳島県鳴門市及び沖縄県国頭郡恩納村という全国に散在する5軒のみであったこと,我が国における「ルネッサンスホテル」の紹介も,海外旅行者向けの出版物等が中心であって,国内所在の「ルネッサンスホテル」に係る全国規模の出版物やウェブページでの紹介等もそれほど一般的で多いものであったとは認め難いこと,国内における申立人関与による「ルネッサンスホテル」の「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」という名を付しての営業期間が平成16年時点までで約17年から約9年というもので長い歴史を有するというほどのものではなかったことなどに照らすと,そもそも,国内に散在した上記5軒のホテルにつき,同一グループに関連するものであるとして広く理解されていたとは考えにくく,国内旅行者等において「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」の標章が相当程度認識され,周知著名性を有していたと認めることはできない。

2 出所混同の判断について

(1) 本件商標等

ア前記第2の2(1)アの表示のとおり,本件商標は,明朝体様の同一書体の文字で構成され,その画文字は,縦線又は横線の端部の一部をややはねて,同一大きさ,同一間隔で横一列に,片仮名と漢字をもって「ルネッサンスホテル創世」と表記するものである(甲10の1,2)。

ところで「簡易,迅速をたっとぶ取引の実際においては,各構成部分がそれを,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものと認められない商標は,常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,しばしば,その一部だけによって簡略に称呼,観念され,一個の商標から二個以上の称呼観念の生ずることがあるのは経験則の教えるところである(前掲最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決参照。)

これを本件につきみるに,本件商標は「ルネッサンスホテル創世」の三つの語の結合から成るものであるが,①「ルネッサンス」の文字は,フランス語のRenaissance の直訳としては「再生」を意味するとともに,14世紀から16世紀にイタリアを中心に西欧で興った古典古代の文化を復興しようとする歴史的・文化的諸運動を指す意味を持つ語であること甲13 14の1~3 ② ホテルの文字は「旅館。特に,西洋風の宿泊施設」の意味を有する語であること(広辞苑第5版),③「創世」の文字は「はじめて世界をつくること。世界のできたはじめ」の意味を有する語であること(広辞苑第5版)からすると,本件商標は,これらのいずれも一般に知られた三つの語を結合したものであると容易に理解することができるものであること「ホテル」の語は役務を表す普通名詞で識別力がないといえることからすると本件商標からそれぞれルネッサンス及び創世との称呼,観念が生じていると解することができる。

イ証拠(甲5,18,19の1,2,甲21,22)及び弁論の全趣旨によれば,①原告は,昭和53年ころ,結婚式場を備え披露宴会場ともなる総合儀式場を設立し,結婚が新郎新婦にとっては2人で新たな人生を切り開くといった門出であるとともに,代表取締役社長がクリスチャンであったことから,その総合儀式上を「創世」と命名したこと,②その後,原告は,結婚式やその後の披露宴出席者の便宜のためのホテルを併設することとし,利用客に対する温かみのあるもてなしを考え「人間復興あるいは人間性の復興」を感じてもらうサービスを提供したいという理念を持ち,ホテルの名称に「ルネッサンス」を入れることとし,原告が従前から使用してきた「創世」の商標と役務を表す語である「ホテル」を結合させ,本件商標としたものであることが認められ,また,原告経営ホテルの宿泊客の大半が国内旅行者であることが推認される。

(2) 「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」標章の独創性等

ア 上記のとおり「RENAISSANCE」及び「ルネッサンス」の文字は,我が国においては,フランス語のRenaissance の直訳として「再生」を意味するとともに,14世紀から16世紀にイタリアを中心に西欧で興った古典古代の文化を復興しようとする歴史的・文化的諸運動を指す意味を持つ一般的な既成語である(甲13,14の1~3 。)

イ そして我が国においてはルネッサンスは極めて一般的な復興再生」を指す語として,民間,官公庁関係において「コスメティックルネッサンス株式会社」ノエビアのテレビコマーシャルヒット曲のCD アルバム(甲15の1)「ルネッサンス-再生への挑戦」(カルロス・ゴーンの著作)(甲15の2) 「道路 ルネッサンス研究会」(国土交通省設置の研究会。(甲15の5) 「ルネッサンスプロジェクト国際シンポジウム経済産業省主催のシンポジウム」(甲15の6)等単独又は他の語と組み合わされて多数使用されている(甲15の1~15 。)

また,我が国においては,法人名としても,Renaissance の呼称である「ルネッサンス」又は「ルネサンス」が使用されており「財団法人シニアルネサンス財団」(甲16の1) 「株式会社ルネサンス」(飲食業。甲16の2) 「株式会社ルネッサンス」(旅行業。甲16の3) 「株式会社ルネサンススポーツクラブ」(甲16の4の12) 「ルネッサンス株式会社(不動産管理業。甲16の5)が存在し,殊にスポーツクラブの「株式会社ルネサンス」については「RENAISSANCE」の標章を使用し,平成20年1月時点で全国に「ルネサンス」の名称を付した88店舗の展開をしている(甲16の4の1,2)。

ウ 特許庁の公開データによれば,平成18年12月時点において,称呼として「ルネッサンス「ルネサンス「ルネサン」又は「ルネッサン」を含む商標登録出願(失効データを含む)は,517件にのぼる(甲17の1,2 )。

そして,指定役務に「宿泊施設の提供」を含む登録商標として「薩摩ルネッサンス」(登録番号:第4878946号。出願日:平成17年1月25日。登録日:同年7月8日。指定役務:第43類「宿泊施設の提供」ほか。甲30の1) 「岡山ルネサンスOKAYAMA RENAISSANCE」 (登録番号:第4919665号。出願日:平成17年5月24日。登録日:平成18年1月6日。指定役務:第43類「宿泊施設の提供」ほか。甲30の2 「京都ルネサンスKYOTO RENAISSANCE」(登録番号:第4919666号。出願日:平成17年5月24日。登録日:平成18年1月6日。指定役務:第43類「宿泊施設の提供」ほか。甲30の3)がある。

エ 平成18年12月時点においてではあるが,山形県米沢市には「HOTELRESTAURANT ルネッサンス」との名称の宿泊等施設(甲23の1)が,福島県東白川郡棚倉町には「ルネサンス棚倉」との名称の宿泊等施設(甲23の2)が存在する。

(3) ところで「商標法4条1項15号にいう『他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標には当該商標をその指定商品又は指定役務以下『指定商品等』という)に使用したときに,当該商品等が他人の商品又は役務(以下『商品等』という)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下『広義の混同を生ずるおそれ』という)がある商標を含むものと解するのが相当である「そして『混同を生ずるおそれ』の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(前記最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決。」)

これを本件についてみるに,上記(1),(2)の事実等及び前記1の認定判断によれば,①本件商標から生ずる「ルネッサンス」との称呼,観念は,申立人商標「RENAISSANCE」 又は「ルネッサンス」及び申立人商標3から生ずる「RENAISSANCE」と称呼,観念が同一であること,②本件商標の指定役務は「宿泊施設の提供」であるのに対し,申立人商標の指定役務は「宿泊施設の提供」等であり,また,申立人はホテル業者であって,その取引者,需要者に共通性があることが認められるが,他方,③我が国において「RENAISSANCE」及び「ルネッサンス」の語は極めて一般的な語であり,類似の「ルネサンス」等も含め,法人名その他の固有名詞等において,単独又は他の語と組み合わせて多数使用されており,その自他識別機能,出所表示機能は弱いといわざるを得ないこと,④本件商標の登録出願時である平成16年及び登録査定時である平成17年時点において,申立人が経営にかかわる「ルネッサンスホテル」は全国に散在する5軒しかなく,我が国における「ルネッサンスホテル」の紹介も,海外旅行者向けの出版物等が中心であって,国内所在の「ルネッサンスホテル」に係る全国規模の出版物やウェブページでの紹介等もそれほど一般的で多いものであったとはいえず,国内所在の申立人関与による「ルネッサンスホテル」の「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」との名を付しての営業期間が平成16年時点までで約17年から約9年というもので長い歴史を有するというほどのものではなかったことなどに照らすと,そもそも,国内に散在した上記5軒のホテルにつき,同一グループに関連するものであるとして広く理解されていたとは考えにくく,国内旅行者等において,申立人が経営にかかわるホテルについての「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」の標章が相当程度認識されていたとまではいえない状況にあったものであること,以上の事情等が認められる。

そうすると,本件商標の登録出願時である平成16年9月29日及びその登録査定時である17年12月26日時点において,本件商標を「宿泊施設の提供」に使用することにより,その取引者,需要者である国内旅行者等において,原告の「宿泊施設の提供」という役務が,申立人の「宿泊施設の提供」等という役務と緊密な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する営業主の業務に係る役務であると誤信されるおそれ(広義の混同を生ずるおそれ)があったものということはできない。

(4) もっとも,被告は「RENAISSANCE」「ルネッサンス」の文字が「再生」の意味を有する既成語であるとしても,十分に自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであることに加え,当該文字がホテル業界においては,マリオットグループの業務に係る世界的な系列ホテル(RENAISSANCE HOTELS & RESORTS)を指称するものとして著名であったと主張する。

しかし,前記1(2)で認定判断のとおり,平成16年,17年時点において,申立人に係るホテルの「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」の標章は,海外旅行用の出版物等を通じるなどして,我が国の海外旅行者においては,海外,殊に米国を中心として所在するホテルチェーンの名称として一定の知名度を有し「宿泊施設の提供」において相当程度認識されていたと判断されるが,他方,本件商標に係る指定役務の取引者,需要者である国内旅行者等において「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」の標章が相当程度認識され,周知著名性を有していたとは認められないものであったといえ,被告の上記主張は採用し難い。

3 結論

以上によれば,原告の主張する取消事由は理由があることになり,本件商標が法4条1項15号に該当するとした本件決定の判断は是認することができないから,本件決定を取り消すこととし,主文のとおり判決する。

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